掃除屋の下請けから、日本にない市場を作り上げた先代。
その背中を継ぎ、私はこの会社を
「成長をコミットできる場所」に変えていきます。
なぜ、スーツケースひとつで世界へ出たのか
父が、スーツケースひとつで
世界を旅した。
私の父がフォード、GM、クライスラー、海外の自動車工場をめぐる中で、海外の自動車工場を巡る中で出会ったのが、「ウォータージェット」という機械でした。水の圧力だけで塗料の汚れを一瞬で落とす。その光景を見た瞬間、「これを日本に持ち帰れないか」という思いが芽生えました。
先代はスーツケースに汚れた設備部品を詰め込み、世界中ウォータージェットメーカーを旅して回りました。そこで出会ったのが、アメリカのNLBというメーカー。こうして、アマノ機工とウォータージェットの歩みが始まりました。
なぜ会社が生まれたのか
誰も歩いていない道を、
先代が切り拓いた。
ウォータージェットが日本で本格的に普及し始めたのは、阪神大震災がきっかけでした。耐震補強・コンクリート補修の需要が急増する中、ゼネコン各社がウォータージェットの活用を模索していた。ちょうどそのタイミングで、台数が増えてきたアマノ機工には「何か活用できないか」という機運がありました。
「機械は高額で、なかなか試せない」というゼネコン側の壁に対して、先代が打ち出したのがウォータージェットのレンタルという手法です。今でこそ当たり前に聞こえるかもしれませんが、当時それは日本に存在しなかったビジネスモデルでした。
一度火がつくと、あっという間に日本中に広がりました。レンタルで試したお客様が機械を購入し、仕事が増えればまたレンタルで補い、また購入へ——その循環の中で、お客様がお客様を紹介してくれるようになりました。営業部署が存在しないまま、
20年以上右肩上がりで成長し続けたのはその証です。
「単に機械を貸していたわけじゃない。
お客様の中に、ウォータージェット事業という新しい部署を立ち上げるサポートをしていた。
それが、先代が作り上げた本当の価値だったと思っています。」
なぜ会社を継いだのか
先代の哲学を引き継ぎ、
私が変えたこと。
私がこの会社を継いだ時、すでにウォータージェット専門企業としての地盤はできていました。でも、「次の10年をどう作るか」は、自分で考えなければなりませんでした。
先代から変わらず大切にしているのは、「ユーザー目線」という感覚です。アマノ機工はもともと自分たちが現場でウォータージェットを使うユーザーでした。だからこそ「ここが使いにくい」「こうすればもっといい」という気づきが自然に生まれる。その声をメーカーにフィードバックし、改善された機械をお客様に届ける。売りっぱなしにならないのは、ポリシー以上に、当たり前の感覚として体に染み付いているからです。
そして私が新たに取り組んだのが、「人を育てる仕組み」を作ることでした。
社長の思想
「いいことを言うだけの社長には、
なりたくなかった。」
少し前まで、私は社員に対してよくこんな話をしていました。「転職には二種類ある。壁にぶつかって楽な方へ転がる転職と、今の仕事こそが天職だと信じて続ける転職。」言葉としては悪くない。でも、ある日気づいたんです。何もしてあげないまま「信じてください」と言うのは、ただのきれいごとだ、と。
転機になったのは、一人の若手社員の顔でした。新規営業に出たものの、勇気が出ずにお客様の工場の周りを3周してしまい、浮かない顔で帰ってきた彼女の表情。その顔を見た時、胸が痛くなりました。
その日のうちに、営業を指導できる外部の顧問を探し始めました。手当たり次第に連絡して、やっと見つけた営業のプロに伴走してもらいながら、3年かけて彼女たちは一人前の営業マンに成長してくれました。
「頑張っている社員に、不幸な顔をさせてはいけない。信じてくれと言うなら、まず自分がコミットしないと。」
「幸せと利益の両立」と言うのは簡単です。
でも私が今考えているのは、その言葉を実現するための具体的なコミット。成長を約束できる会社にすること。
それが今、私が社長として一番大切にしていることです。
目指す未来
一度しかない人生で、二番手の会社じゃつまらない。
新卒で入社してくれた社員に、よく思うことがあります。この会社を、人生を懸ける場所として選んでくれた。それなのに、どんだけ頑張っても業界の二番手・三番手の会社で終わったら、申し訳なさすぎる、と。
だからアマノ機工は、カテゴリーキングを目指しています。大きなナンバーワンである必要はない。でも「この分野ならアマノ機工」と言われる存在になりたい。狭くていい。深くなればいい。そこだけは、誰にも負けない。
社員が「この会社でよかった」と思えるのは、給与や休日だけじゃないはずです。仕事そのものが報酬になる瞬間、ここで働く意味を実感できる瞬間
——そういう会社を作ることが、私の仕事だと思っています。